Release: 2020/09/24 Update: 2021/09/05
母の性格~認知症とコミュニケーション~
私の母は7人兄弟です。
一番上の長女として生まれた母、その下に妹が4人、弟が2人います。
叔母たちの話を聞くと母は、好きな妹と嫌いな妹を分け隔てして接していたようでした。
「○○子、こっちおいで」 「××子、お前嫌いだからあっちいけ」食卓を囲むとき、よくこんなことを言っていたそうです。
そりゃ、兄弟といえども好き嫌いはあるでしょうが、この態度はどうなんでしょうね?
あからさまに嫌いと言われた叔母は、別に母に対していじわるしたわけでもなく、ただ単に「生理的に嫌い」だっただけのようでした。
他の叔母たちも母のこの態度は理解できなかったようです。
母の好きだった妹は末っ子で、なんでも母の言いなりになる大人しい妹でした。
一方、嫌いと言われた叔母は母のすぐ下の妹。
逆らうわけではないけれど、言いなりにはならない存在でしたから、気に食わなかったのかもしれませんね。
この性格は自分の子供を持ってからも変わることはありませんでした。
私は2人兄弟で、5歳下の弟がいます。
弟が生まれるまでは、それなりに可愛がられたこともあったと記憶していますが、それでも子供に愛情が持てない人なのか、夫婦仲が悪かったせいで両親が喧嘩すると、父が居なくなってから訳もなく母から叩かれていました。
何とかして母に可愛がられようと甘えてみるのですが冷たくあしらわれていました。
もっともその分、私は父になついて甘えていたので、かろうじて親の愛情を感じることができたのかもしれません。
反対に母に対しては徐々に嫌悪感を覚えるようになりましたが・・・
ほとんど目を掛けてもらえなかった私は、幼いころ階段から落ちたり交通事故に遭ったりと怪我ばかりしていました。
ほんの3歳か4歳の子供を交通量の激しい道路際で一人で遊ばされていて、私はそこで事故に遭ったのです。
その時には弟が生まれていたのですが、弟の世話で忙しいという母は、結局3ヶ月ほど入院している私のお見舞いにはとうとう一度も来ませんでした。
それは私が小学生になって、父が母に対して「お前は子供に愛情ないもんな。
こいつが入院していても見舞いにも来ないし」と話すのを聞いたことがあるので、事実だと思います。
母もそれに対しては反論もしませんでしたし。
代わりに母方の祖母がほとんど泊まり込みで面倒みてくれましたので寂しさは感じませんでした。
父も日曜になると見舞い品(お人形など)を持って見舞いに来てくれました。
その当時はわからなかったけれど、大人になってから思うと、これってかなり異常なことですよね・・・
私に対して愛情が抱けない人なんだなぁと思います。
こんな調子でしたから、近所付き合いにしても好き嫌いがはっきりしていまして、だからママ友も含めて仲のいい人はほとんどいませんでした。
誰とでも分け隔てなく付き合うことは難しくても、母のように極端に「好き・嫌い」で人を区別してしまうと結局、交友関係を狭めてしまうことになると思うんですけどね。
認知症の原因の一つに「他人との接触が少ない」ことがあげられています。
赤の他人とコミュニケーションをとることで、脳細胞は活性化します。
家族や親類など、ごく親しい人とだけ交わっていては脳は刺激を受けません。
こういった小さな日常の行動がゆくゆくは認知症発症の原因の一つになるのではないかと思うのです。
認知症の検査でよくあるのが、「検査員が来ると、自分を取り繕って話をする」という事があります。
普段、家族に対しては馬事雑言を浴びせているのに、他人に対しては穏やかに、理路整然と話をするのです。
そんなことしても、検査員はプロですから、自分に対してだけ取り繕って(ごまかして)話しているのか、普段からの話の内容なのかは見抜いているのですけどね。
社会と交流を持つ、近所の人、友達、趣味の仲間たちと話をするということが、どれだけ脳神経を活性化するか、それができない母を見ていて、よくそう思います。

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