Release: 2020/09/27 Update: 2021/09/05
お前より先にボケてやる!脅し文句!?
これ、聞いたらちょっとドキッとしませんか?
実はうちの母が20年以上前に、父とケンカしたときの脅し文句だったのです。

まだ「認知症」という言葉が無かった時代

当時はまだ「認知症」という言葉が無くて、認知が入った状態の高齢者を「ボケ老人」なんて呼んでいました。
高齢化するとボケる老人が増えるとか、ボケるとどうなるかなんていうことだけが世間に知れ渡っていました。
近所でも「あそこのおじいちゃん、ボケちゃったみたいね~」なんて話がよく聞かれました。
ボケた老人について噂話をするだけで、まだまだ「明日は我が身」という危機感もないので、ボケを予防する方法とか、進行を遅らせるためにどうするか、なんていうことはほとんど報道されませんでした。

両親の口げんかと母の性格

そんなわけで、うちの両親もケンカになるとしょっちゅう「このボケ!」なんて相手を罵倒するだけで、実際にそうなったらどうするか、そうならない為にどうするかなんて考えることはしませんでした。
母は昔から苦しいことから逃げるタイプの人なので嫌なことは全て家族や他人に押し付けてきました。
そういう性格だったからでしょうか、夫より先に認知になってしまえば、自分だけは苦労しないで済むと思ったのかもしれません。
本当に認知症になって自分の名前も家族もわからなくなってしまって幸せでしょうか。
運よく、優しく介護してくれる家族や施設の職員に巡り合えばそれが幸せなのしょうか?

認知症と健忘症の違い

年齢を重ねれば誰でも物忘れします。
「用事があって立ち上がったものの何しに来たのか忘れた」、「芸能人の顔はわかっても名前が出てこない」なんてことはありますが、これらの症状すべてが認知症とは限りません。

認知症の気づき

認知症になる前に予防することもできます。
どうして認知症の予防をした方が飯野でしょうか。それは・・・
体が健康でも、認知症になっていろんなことが自分で出来なくなるって、幸せなんでしょうか?
母も最初は認知症の兆候に気づいていました。
例の口げんかの頃から10年ほど経ったときです。
「最近ときどき、頭が真っ白になってボーっとして何もわからなくなる時がある」と、不安そうに話していたことがありました。
その時、私は「神経科とか物忘れ外来に行って診てもらえば?」と何度となく勧めました。

物忘れ外来など専門医に診てもらうことの大切さ

ところが母は根っからの病院嫌い。
おまけに、面倒なことはやらない性格だったので病院に行くなんてことはありませんでした。
あの時、きちんと受診して、認知症を遅らせる薬の処方などしてもらえば急速に病気が進行することも無かったと思います。
同時に、父ももっと積極的に母を受診させることをしていたら、二人とも認知になる事もなかったのではないか、って思ってしまいます。
父は父で、こんな風になった母を外に出す事を恥と思っていたので、受診はもちろん、母がやっていたボランティア活動までやめさせてしまいました。
これでは「早くボケろ」と言わんばかりですよね。
仕事もない、近所との付き合いもない、受診もしない・・・
認知が進むにつれて「自分は正常だ」と言い張るようになって、ますます状況は悪くなっていきました。

認知症は脳の病気です

認知症は病気です。
体の病気になったり、怪我したりすれば病院に行きますよね?
じゃあ、頭の病気だっておんなじです。
具合が悪くなったら受診しなければいけません。
世間体なんて気にしてる場合じゃないのです。
今でこそ、若年を含めて認知症になる可能性が報じられています。
昔ほど、受診をためらわなければならない理由もなくなりました。
自分はまだ大丈夫、なんて素人判断しないで今までと違った兆候が出てきたら積極的に受診したほうがいいと思うのです。

認知症は治らない

残念ながら、認知症は治る病気ではありません。
でも!予防すること、進行を遅らせることはできるのです。

まとめ

認知症を遅らせる

歳をとると、若いころのように何でもやりたいことができるわけではありません。
でも、心身ともに健康であれば年齢を重ねても人生を楽しむ方法はたくさんあると思うのです。
できる事ならお墓に入るその日まで、心も体も健康でいたいですよね!
適度な運動、適度なストレス、仕事、人とのコミュニケーションなど、脳にいい刺激をどんどん与えましょう!
認知症を発症してしまうと、その進行を遅らせることはできても、完治させることはできません。
でも、早めに気づいて治療を受ければ進行を遅らせることができるんです。
自分も認知症気味かもしれないと思ったら、早めの受診をおススメします。
適切な治療を続けて近い将来、認知症が治る薬が開発されるのを期待しましょう!
それまでの間、多くの人やそのご家族の認知症が進まないことを祈るばかりです。

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