高齢者を「ちゃん付け」して呼ぶのは、アリ?
目次
高齢者の呼び方って?
前回の「A定食とB定食」の記事に続いてこれも、社会福祉主事の研修センターでの授業の一つです。
~ちゃん付けって有り?
入居者を苗字ではなく、名前に「ちゃん」を付けて呼ぶのはアリなのか?というもの。
(おじいちゃん、おばあちゃんというのは論外として)
(おじいちゃん、おばあちゃんというのは論外として)
女性はともかく、男性の入居者に対してはさすがに名前に「ちゃん」ではなく、ニックネームで、ということですが。
(山本さんを「やまちゃん」、田中幸三さんを「こうちゃん」あるいは「こうぞうさん」というように)
(山本さんを「やまちゃん」、田中幸三さんを「こうちゃん」あるいは「こうぞうさん」というように)
私は今まで、それも普通にアリだなあと思っていたのです。
入居者の中には結婚してからの記憶が無くなっている人もいます。
入居者の中には結婚してからの記憶が無くなっている人もいます。
そんな人を苗字で呼んでも、自分が呼ばれているかどうかわからないじゃないですか。
子供の頃の記憶しかなかったり、名前で呼ばれたいのに、いつでも「◯◯さんの奥さん」とか、「◯◯さん」としか呼ばれなかったら寂しいですよね。
この問いかけに対して研修生の中に1人、頑なに「絶対に苗字にさんを付けて呼ぶべきだ」と主張する若い男性がいました。
講師が何故かと尋ねると「ちゃん付けするということは、高齢者の方の尊厳を貶める(おとしめる)ものだから」というものでした。
ちゃん付けするというのは、その人の威厳も社会的立場も低く貶める(おとしめる)ことだ、とも言っていました。
ちゃん付けするというのは、その人の威厳も社会的立場も低く貶める(おとしめる)ことだ、とも言っていました。
人それぞれ、考え方に違いがあるし、その人は今までの介護経験からそれを実践してきたのでしょう。
それはそれで間違ってはいないと思います。
大事なのは自分の意見を他人に押し付けないということだと思うのです。
うちの両親の場合
うちの両親を施設に入居させ経頃ですが、しばらくは3通りの呼び方をされていました。
母を苗字で「◯◯さん」、名前を「△△ちゃん」「△△さん」というように。
母を苗字で「◯◯さん」、名前を「△△ちゃん」「△△さん」というように。
父の場合は普通に苗字に「さん付け」でしたが、母は心なしか名前にちゃんを付けられて呼ばれるとニコっと笑って嬉しそうでした。
私の知る限り母は子供の頃、兄弟姉妹から「◯◯ちゃん」と呼ばれていて、その頃の記憶が強いとすれば、そう呼ばれて安心したのかもしれません。
欧米では年齢に関係なくファーストネームで呼び合っていますが、日本ではまだまだニックネーム以外は苗字に「さん付け」で呼ばれますよね。
施設に入居すると聞かれること
施設に入居する際、こういった細かいことを聞かれることがあります。
「ご本人は何と呼ばれたがっていますか?」と。
「ご本人は何と呼ばれたがっていますか?」と。
本人が希望したとおりに呼んでもらえると、やはり機嫌がよくなります。
嫌がっているのに無理やり「ちゃん付け」で呼ぶことはありませんが、呼ばれた時の顔を観察して呼び方を変えるというのも、本人が落ち着く要素の一つだと思うのです。
まとめ
高齢者を名前で呼ぶか、ニックネームで呼ぶかなど、一見どうでもいいことだと思いますよね。
でも意外と、本人は下の名前で呼ばれると予想以上に喜んでくれることがあるようです。
誰それさんの奥さん、誰それちゃんのお母さん、あるいは職場では苗字で呼ばれていたなど、高齢者にはそれぞれの歴史があります。
認知症になって自分がどの時代に戻っているのかを見極めるのも介護職員の仕事です。
認知症になって自分がどの時代に戻っているのかを見極めるのも介護職員の仕事です。
呼ばれ方って意外と大事なことかもしれません。
今までは苗字で呼ばれていたのに、下の名前で呼ばれてにっこりするのは私たちが想像する以上に、本人にとって大切なことなのかもしれませんね。
今までは苗字で呼ばれていたのに、下の名前で呼ばれてにっこりするのは私たちが想像する以上に、本人にとって大切なことなのかもしれませんね。