身内を介護する難しさ④ 怒りスイッチ 君のはどこにあるんだろ~
身内の高齢者、スーパーやコンビニで買い物をしている高齢者など、いきなりキレて怒鳴りつけられたことはありませんか?
そんなに怒ることじゃないのに、ちょっと気に障ったくらいでなんであんなに怒鳴り散らすのか不思議じゃありませんか?
これは認知症の高齢者に多いことで、実は脳の「前頭葉」が壊れてしまったのが原因の一つなんですね。
これは認知症の高齢者に多いことで、実は脳の「前頭葉」が壊れてしまったのが原因の一つなんですね。
目次
いきなりキレて暴れる母
怒りスイッチ 君のはどこにあるんだろ~♪
やる気スイッチならいいんですけどねw
母の状態
アルツハイマーを発症して前頭葉が萎縮したり、損傷を受けたりすると感情のコントロールが利かなくなります。
巷で「キレる高齢者」問題を取り上げることも多くなりましたが、全部とは言わないまでも、若干、脳の委縮が始まると誰でもすぐにカッとなるようです。
巷で「キレる高齢者」問題を取り上げることも多くなりましたが、全部とは言わないまでも、若干、脳の委縮が始まると誰でもすぐにカッとなるようです。
私の両親に関して言えば、母はもともと性格がキツくて、認知症が進むにつれてますます怒りっぽくなっていきました。
普段の食事でも気に入らないことがあると、いきなりキレて怒り出す。
普段の食事でも気に入らないことがあると、いきなりキレて怒り出す。
生乾きの洗濯物を部屋に山積みにしないようにとか、食後の食器を洗うなら洗剤を付けて洗ってほしいとか(お茶を飲んだ後のお茶碗、中身をパッと捨てるだけですすぎもしない)、そういうことを注意すると怒りが爆発する。
挙句に、朝から寝るまでほぼ一日中、父に向って暴言を吐き続ける。
声が枯れて辛くないのか?と思うほど、毎日朝から寝るまで、この調子です。
声が枯れて辛くないのか?と思うほど、毎日朝から寝るまで、この調子です。
母に怒鳴られる父
一方、父の方は、と言えば、母が怒鳴り散らしてる間は無言で我慢をしている・・・
これ、そうとうストレスだったと思います。
これ、そうとうストレスだったと思います。
それが原因で心臓を悪くしたのではないかと思います。
毎日のことですからね、それも数年に渡って。
毎日のことですからね、それも数年に渡って。
父の症状の変化
そんな父ですが、母以外の人に対しては、やはり怒りスイッチが入って人を(特に娘である私を)怒鳴り散らすことが増えてきました。
性格は短気で、相手が自分の思うように動かないとキレて怒鳴る。
時には手をあげる人でしたから職場でもこれをやっていたのでしょう。
今ならパワハラで訴えられるところです。
時には手をあげる人でしたから職場でもこれをやっていたのでしょう。
今ならパワハラで訴えられるところです。
もっとも、職人の世界では親方や先輩が後輩を怒鳴る、叩くなんていうのは日常茶飯事のことなので、一般の職場とは少し違うのかもしれません。
私も時々、ゴミの出し方が違うだのなんだのと近所の人がいる前で怒鳴りつけられていました。
私も時々、ゴミの出し方が違うだのなんだのと近所の人がいる前で怒鳴りつけられていました。
弟の家族が来ている時も、何が気に食わないんだか、よく義理の妹や甥っ子がいるところで怒鳴られました。
親せきの家に遊びに行ってもそう。
親せきの家に遊びに行ってもそう。
何が気に入らないんだか、いきなり人前で怒鳴りつける。
人前で怒鳴りつけることがどれだけ人の気持ちを傷つけているかなんて、考えもいないんでしょうよ。
人前で怒鳴りつけることがどれだけ人の気持ちを傷つけているかなんて、考えもいないんでしょうよ。
「認知症だから」「頭の病気だから」と思っても、もうね、面目丸つぶれで恥ずかしいんですよ。
人格、全否定なんですから。
人格、全否定なんですから。
家族の対応の変化
さわらぬ神に祟りなし ・・・ 徐々に距離を置いて親とは口を利かなくなります。
家から離れて寄り付かなくなります。
家から離れて寄り付かなくなります。
もうね、そばにいるのが嫌になるんです。
介護、介助が必要だと頭ではわかっていても、また怒鳴られるんじゃないか、と思うとね。
介護、介助が必要だと頭ではわかっていても、また怒鳴られるんじゃないか、と思うとね。
第三者の介護
これが介護現場で他人の介護をしていたらどうでしょう?
やはり介護職員に対しても暴言を吐いたり暴力を振るったりする高齢者はいます。
介護現場は大変です。
介護現場は大変です。
とはいえ、そこには交代要員がいます。
24時間つきっきりで、その問題老人に向き合っているわけではありません。
24時間つきっきりで、その問題老人に向き合っているわけではありません。
介護のプロとして、怒りスイッチが入った場合の気持ちの切り替え方なんかも熟知しています。
うまく怒りの矛先を別の所に向けることができます。
うまく怒りの矛先を別の所に向けることができます。
それでも納まらない時は、別のスタッフが間に割って入ります。
多くの高齢者は、自分の身内に対してだけ感情的に荒ぶって怒りを爆発させますが、介護職員に対してはそういうことはしません。
多くの高齢者は、自分の身内に対してだけ感情的に荒ぶって怒りを爆発させますが、介護職員に対してはそういうことはしません。
他人に対する父や母の対応
あれだけ気性の荒い父でさえ、介護してくれる職員に対して「いつもすまないね、ありがとな」なんて殊勝な言葉を発していたくらいですから。
これは母も同じ。
これは母も同じ。
家族に対しては、ありとあらゆる暴言を吐き続けるのに、ヘルパーさんに対してはやっぱり「すみません、ありがとう、だいじょうぶです」と大人しくなってしまうのです。
介護に他人が入ることでワンクッションできるのです。
介護に他人が入ることでワンクッションできるのです。
身内の介護の難しさと危険
身内だからお互いに感情的になる。
怒りが表に現れて、関係性が悪くなる。
怒りが表に現れて、関係性が悪くなる。
そういったストレスが溜まると自分の親でさえ、殺してしまいたいほど憎らしくなる。
悲しいことに介護している子供や夫が認知症の母や妻を殺害する事件が後を絶ちません。
悲しいことに介護している子供や夫が認知症の母や妻を殺害する事件が後を絶ちません。
私は決して殺人や暴力を肯定はしませんが、でも、そうしてしまう気持ちもわかるんです・・・
家族の中から加害者と被害者が出てしまうという現実・・・
家族の中から加害者と被害者が出てしまうという現実・・・
取り返しのつかないことになります。
言葉少ない、あるベテランの介護職員が言いました。
「私も自分の親の介護はできません。仕事だからお年寄りのお世話はしますけどね。」
「私も自分の親の介護はできません。仕事だからお年寄りのお世話はしますけどね。」
まとめ
介護現場の人でさえ、身内の介護は難しいのです。
親を施設に預けることに抵抗のある方がいらっしゃったら、こういう現実があることを知って欲しいと思います。
親を施設に預けることに抵抗のある方がいらっしゃったら、こういう現実があることを知って欲しいと思います。
介護法が何度も改正されたこと、介護施設が増えてそれぞれが差別化をはかり、よりよいサービスを提供することでお客様を増やそうとすることで、10年前に比べて要介護の身内を預ける施設を探しやすくなりました。
高齢者の怒りスイッチが入る前に、その怒りに自分がストレスを感じて疲れてしまう前に、介護施設に入居させるのは必ずしも親不孝ではないのです。