Release: 2020/10/11 Update: 2021/09/05
身内の介護 ~恐怖の前頭葉型認知症~

認知症の種類

一口に認知症といっても、その原因は様々です。

アルツハイマー型認知症

「ここはどこ?私はだれ?」と言うように自分が誰なのか、あるいは身内(子供や伴侶)がわからなくなる「記憶障害」が起こったり、今どこにいるのか、今日が何月何日なのかがわからなくなったりする「見当障害」が起きます。
異常なたんぱく質が脳内に蓄積した結果、神経細胞を破壊して脳が委縮した結果、起こる症状です。

レビー小体型認知症

レビー小体と言う異常なタンパクが大脳皮質や脳幹に蓄積すると、神経細胞を破壊します。
こうなると神経伝達がうまくいかずに幻視や幻聴、パーキンソン病のような症状がでます。
*パーキンソン病の症状: 静止時振戦(じっとしている時の震え、片方の手足の震えから始まる、1秒間に4回~6回ほど震える、睡眠中の震えは収まるが、目が覚めると震える)無動(動きが素早くできない、歩く時に足が前に出ない、話し方に抑揚がなくなり、声が小さくなる、書く文字が小さくなるなど)、筋強剛(肩・膝・指などの筋肉が固くなってスムーズに動かせない、顔の筋肉がこわばり無表情になる、筋肉に痛みを感じる)、姿勢反射障害(体のバランスが取れず、転びやすい、歩いていて止まれなかったり方向転換が困難になる、首が下がり体が斜めに傾く、転倒しやすくなる)

正常圧水頭症

脳脊髄液が脳室にたまり、脳室が大きくなることで周りの脳が圧迫されることで運動機能である歩行障害が出たり、尿失禁したりするようになる。
認知症の症状が出るが、手術による治療で改善することもある。

ピック症(前頭側頭型認知症)

前頭葉と側頭葉の委縮により、記憶障害は目立たないが、人格が変わったようになったり反社会的行動を起こすことがある(万引きや無銭飲食など)。

アルコール性認知症

多量のアルコール飲酒により脳梗塞や脳血管障害、ビタミンB1の欠乏による栄養障害により認知症を発症する。
記憶障害、作話、見当識障害などの症状が出ることがある。

脳血管性認知症

脳梗塞、脳出血などで血管が詰まることにより、脳細胞に酸素が送られなくなると神経細胞が死んでしまいます。
いわゆる「まだらボケ」の状態で、もの忘れはあるが判断力は正常に働くなど正常な時とそうでない時が起こる。

母親の場合

うちの両親、特に母親は60代後半から徐々に認知症の症状が進んでいたのですが、一緒に暮らしていて困るのが「昼夜逆転行動」というもの。
時間の観念が無くなって昼間はテレビを見ながら昼寝、夕方起きてきて食事を摂るとまたテレビを見ながらうたた寝の生活。
家族はそれぞれ片付けしたりお風呂に入ったりして夜中にはベッドに入るのですが、寝入りばなにいきなり人の部屋に怒鳴り込んできたりしました。
「あんた!私のサンダルどこに隠した!!」と、ものすごい剣幕で。
「ああ、底が剥がれてパカパカになってたから捨てた」、なんて言おうものなら大変な騒ぎになります。
「まだ何ともないものを勝手に捨てやがって!」と悪口雑言が延々と続くんですよね。
仕事で疲れて、翌朝も早いから眠りたいのに毎晩のようにこれが繰り返されるからたまったもんじゃありません。
とにかく自分のものが無くなったりすると、まず家族を疑い必ず真夜中に騒ぎ出すんですから。
1時間でも2時間でも喚き散らして隣近所にも聞こえるし、何よりこちらが眠れなくて辛いのです。
正常な判断ができなくなっているのと、相手が家族という甘えから言いたい放題の悪態をつきます。
いくら頭の病気だからと、わかっていても毎晩これが続くと耐えがたいものがあります。
母の認知症が前頭葉型なのかピック症なのか、詳しい検査はしたことはありませんでしたが、これだけ怒りの感情をむき出しにして食って掛かってくるというのは、少なからず前頭葉の細胞が破壊されていたのではないかと思います。
施設に入居して毎晩こんなに騒がれると職員やほかの入居者に迷惑が掛かるので、医者に眠剤や精神安定剤を処方してもらうことになるのですが、自宅で一緒に暮らしていると病院に連れて行くのも一苦労。
本人は至って正常だと思い込んでいるので、病院なんかに行くわけもないし、自分自身が臭いとか体が痒いという認識が無いので1ヶ月近く風呂にも入らないし下着も取り替えない。
これじゃあ、外出なんてとても無理ですよね。
うちの場合は、たまに自分からお風呂に入ってくれるときを見計らって真っ黒に汚れた下着類を洗濯機に放り込み、新しい下着を用意しておいたのですが、今度は古い下着を探して大騒ぎになりました。
(ちなみに洗濯機の水は真っ黒で、数回洗わないと、まともに着られないほど汚れきっているので、大概は捨ててしまうことになったのですが・・・)
前頭葉の細胞が壊れると感情を抑えられなくなり、感情的に相手を攻撃することと不潔行動が目立つようになります。
もうこうなると、家族も世話をするのがしんどくなってお手上げ状態です。

施設入所後の母親の症状

こんな母親だったのですが病院に入院した時や、後々施設に入れた途端、借りてきた猫のようにおとなしくなりました。
看護婦さんやお医者さん、ヘルパーの人にまで気を遣って、しおらしく振舞っていたのだから驚きです。
と言うことは前頭葉が破壊されていたわけでもなく、多少は人間らしい感情が残っていたのかもしれません。
前頭葉が完全にいかれてしまうと、だれかれ構わず攻撃的になるので、母親の場合はまた違ったタイプの認知症だった可能性が高いですね。
身内同士だとあれだけ暴言を吐いて暴れていたのが嘘のように施設では大人しいおばあちゃんになっていったので、家での様子をヘルパーさんに伝えるとみな、びっくり。
「あのおとなしい◯◯子さん(母)が、そんな口をきくなんて考えられない」、とよく言われました。
それでも何か気に食わないことがあると、家族だけを攻撃(口撃)することに変わりはないので、前頭葉が破損していても残った正常な脳組織で、懸命に「他人に気を遣う」機能が残されていたのでしょうか。

まとめ

母が認知症になって間もなくのころは時々正常に行動したり嗜好したりすることもできた、いわゆる「まだらボケ」状態だったのですが、一旦怒りのスイッチが入ると、どうにも落ち着かせることはできません。
介護するこちらも疲れが溜まってきますから、優しく接することができなくなります。
こんなことを考えると、認知症を患った家族を他人に預けることが必ずしも悪いことだとは思えないんですよね。
いや、むしろ本人の情緒が安定して家族も自分の生活を取り戻せるのだから却って施設などに預けて世話をしてもらう方が、心身共に落ち着いて生活できるのかもしれません。

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